オリーブオイル

ポルトガルでは、オリーブオイルと食用オリーブの生産は、そのほとんどが主要な22の国産品種から生産されています。最も多く栽培されている品種は「ガレガ」(Galega)とも呼ばれる「ガレガ・ヴルガー」(Galega vulgar)で、国内のオリーブの木の約60%を占めています。その他の主要品種には、「コブランソザ」(Cobrançosa)「アルベキーナ」(Arbequina)「ピクアル」(Picual)「アルボサナ」(Arbosana)「コロネイキ」(Koroneiki)などがあります

オリーブ畑の栽培面積が最も広いのはアレンテージョ(Alentejo)地方で、全国生産量の約70%を占めており、次いでトラズ・オス・モンテス(Trás-Os-Montes)、セントロ(Centro)、リバテージョ(Ribatejo)、アルガルヴェ(Algarve)の順となっています。総面積の97.5%近くがオリーブオイル用のオリーブの栽培に使われ、残りは食用オリーブの栽培に使われています。また、オリーブ栽培面積の6%は有機栽培です。

オリーブオイルは一般的に酸度が低いほど良質と言われますが、エキストラバージンオリーブオイルは、バージンオイル(一番搾り)において最高級であり、酸度は0.8%以下で優れた香りや味わいが特徴です。一方で、バージンオリーブオイルは、エキストラバージンオリーブオイル程ではないものの、風味が良く、酸度も2.0%以下となっています。

身体に良くて、地球に優しい

オリーブオイルは地中海式ダイエットの食事に欠かせないオイルです。オリーブオイルは一価不飽和脂肪で、総コレステロールと低密度リポタンパク質(または「悪玉」コレステロール)の値を下げます。

オリーブオイルには抗菌作用があると言われ、有益な一価不飽和脂肪の存在によりエピジェネティクスに影響を与える可能性があり、癌などエピジェネティクスの変化と関係しているとされている疾患の発症を防ぐことができるとの仮説もあります。また、オリーブオイルは多くの大量の抗酸化物質を含み、心疾患に効能があります(ムハマド・アクラム著「オリーブオイル」参照)。これらの特徴は日本の消費者にもよく知られ、ヨーロッパ産オリーブオイルはその味わいだけでなく、健康への効果からも高く評価されています。

また、ヨーロッパのオリーブオイルは、すでに環境フットプリントの負荷を削減しています。オリーブの木は、二酸化炭素を吸収する力があり、1kgのオリーブオイルは成長段階で大気から0.4kgのCO2を吸収します。製造過程におけるエネルギー消費と、製造・包装段階で使用する原材料を削減するためのソリューションも追加されれば、1kgのオリーブオイルの生産で発生する排出量は、ゼロに近いかマイナスにさえなり得ます。オリーブオイルのサプライチェーンはその特性により、気候変動を緩和し、生物多様性と自然のエコシステムを保護するための戦略開発のモデルになれる可能性すら秘めています。

ポルトガルの原産地呼称保護 (PDO)製品

ポルトガルには現在、6つの原産地呼称保護に認定されたオリーブオイル産地があります。

PDOトラズ・オス・モンテス (Azeite de Trás-Os-Montes PDO)

PDOトラズ・オス・モンテスのエキストラバージンオリーブオイルとバージンオリーブオイルは、ヴェルデアル・トランスモンタナ(Verdeal transmontana)、マドゥラル(Madural)、コブランソザ(Cobrançosa)、コルドビル(Cordovil)のオリーブ品種から生産されます。

この地の生産者は、最高の状態でオリーブを栽培し、収穫するため細心の注意を払ってきました。「テラ・ケンテ(Terra Quente)」地区では、その出来の素晴らしさから、今でもオリーブの木は神聖な木とされています。

トラズ・オス・モンテスのオリーブオイルは、フレッシュフルーツ、時にはアーモンドのような香りと風味を持ち、甘み、青草の風味、ほろ苦さ、スパイスが感じられるバランスのとれたオリーブオイルで、国内の他のオリーブオイルとは一線を画しています。

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PDOモウラ (Azeite de Moura PDO)

PDOモウラではガレガ(Galega)、ヴェルデアル(Verdeal)、コルドビル(Cordovil)品種を原料とし、機械的な製法で、独自の化学的で感覚的なエキストラバージンオリーブオイルとバージンオリーブオイルを生産しています。オイルは、ヴェルデアル(Verdeal)が最大15〜20%、コルドビル(Cordovil)が最低35〜40%含まれ、残りはガレガ(Galega)をブレンドして作ります。

健全なオリーブの実だけを完熟した状態で収穫し、風通しの良い中型のコンテナに入れて、短時間で工場に運ぶことが重要です。工場ではオリーブは可能な限り早く洗浄され、洗浄から搾油までの保存期間は24時間以内と定められています。オリーブは、産地、品種、品質によって分けて搾油されます。

ガレガ(Galega)とヴェルデアル(Verdeal)由来の芳醇なアロマやフルーティな味わいに、主にコルドビル(Cordovil)からの一価不飽和脂肪酸が豊富に含まれた、黄緑色のオリーブオイルです。

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PDOアレンテージョ・インテリオール (Azeite do Alentejo Interior PDO)

PDOアレンテージョ・インテリオールのエキストラバージンオリーブオイルはガレガ・ヴルガー(Galega vulgar)(60%)、コルドヴィル・デ・セルパ(Cordovil de Serpa)および/またはコブランソサ(Cobrançosa)(最大40%)の品種を機械で搾油し製造されます。また、その他の品種も最大5%まで、ピクアル(Picual)とマサニーリャ(Maçanilha)の品種以外であれば、使用することが可能です。

このオリーブオイルは、伝統的な圧搾または遠心分離によって抽出されます。使用される搾油法は、オリーブの品質によって決まり、高品質のオリーブを迅速に加工しなければいけません。

粉砕後、温度を30°C以下に保って遠心分離によりオイルの抽出を容易にし、本来の香りを保つようにします。

このオリーブオイルは、黄金色または青みがかった色が特徴です。異なる品種の様々な風味を含んでおり、オリーブやリンゴ、時にはイチジクのような独特な甘みを感じる、フルーティーでソフトな味わいが特徴です。

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PDOベイラ・インテリオール (Azeites da Beira Interior PDO)

PDOベイラ・インテリオールはベイラ・バイシャ(Beira Baixa)とベイラ・アルタ(Beira Alta)の2つの地域で栽培されたガレガ(Galega)、マドゥラル(Madural)、コブランソザ(Cobrançosa)、コルドヴィル(Cordovil)品種からつく造られるエキストラバージンオリーブオイルとバージンオリーブオイルです。

収穫したオリーブは、洗浄し、工場に運ばれます。オリーブの実を砕き、ペースト状にしたものを圧搾します(圧搾温度は25~30°Cを保つ)。オリーブオイルの分離は、遠心分離または沈殿によって行われ、昔ながらの搾油法か連続法を用いるかによって異なります。オリーブオイルは、ステンレス製またはグラスファイバー製の樹脂容器に入れ、14°C~18°Cの温度で保存します。最後に、ろ過を経て不活性な容器に瓶詰めされます。

オイルの特徴は、酸度が低い、あるいは、非常に低いく、色合いは主な使用品種のガレガにより黄緑から黄色がかった緑まで様々です。この品種は、独特な香りとオリーブのフルーティーな味わいをもたらします。

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PDOノルテ・アレンテジャーノ(Azeites do Norte Alentejano PDO)

PDOノルテ・アレンテジャーノはガレガ(Galega)を最低65%使用したエキストラバージンオリーブオイルで、アゼイテイラ(Azeiteira)、ブランケタ(Blanqueta)、レドンディル(Redondil)、カラスケニャ(Carrasquenha)品種は最大5%、コブランソザ(Cobrançosa)は最大10%まで使用することができます。

健全で完熟したオリーブの実だけが収穫されます。工場では、オリーブは洗浄され、粉砕され、48時間以内に搾油の工程にかかります。破砕と遠心分離の工程は、35°C以下の温度で行われます。

酸度が低い、あるいは、非常に低いのが特徴で、少し粘性があり、フルーティーで、時に緑色を帯びた黄金色をしており、まろやかな香りがある魅力的な味わいが特徴です。これらの特徴は、オリーブの品種の組み合わせ、収穫条件、工場までの輸送方法、そして搾油工程に起因しています。

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PDOリバテージョ (Azeites do Ribatejo PDO)

PDOリバテージョはガレガ(Galega)とレンティスカ(Lentisca)品種から作られたエキストラバージンオリーブオイルです。

オリーブは完熟した状態で収穫し、工場に輸送され、48時間以内に搾油工程に移ります。洗浄と破砕の後、オリーブペーストはオイルの分離を促すため35°Cまで加熱されます。これには2つの方法があり、伝統的な圧搾機による方法と、近代的な遠心分離機による方法です。

PDOリバテージョは、酸度が低く、やや粘性があり、フルーティーな味わいが特徴的です。色は黄金色で、時折緑色を帯びることがあります。畑の土壌は主に石灰質で、地中海性気候とともにオリーブ栽培に理想的な条件となっています。

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